犬は味が分かる?人間の味覚との違いは?
人間は、繊細な味の違いに対応する舌を持っています。
では、犬はどうなのでしょう?
嗅覚や聴覚など、人間よりもはるかに性能の良い耳や鼻をもつのですから、同じく五感のひとつである味覚も、人間より優れているように思いますよね。
犬が感じる味覚について、まとめました。
味を感じる仕組み
基本的には人間と同じで、味蕾細胞(みらいさいぼう)があり、その細胞で味を感じることが出来ます。
しかし、人間がおよそ1万個の味蕾細胞を持っているのに対して、犬のそれは1/5~1/6程度しかありません。
また、人間は甘さや苦みなどの味の違いを、舌の特定の部分で感じます。
たとえば、舌の先端部では甘みを、中央部では苦みを、といった風に、感じる場所が決まっているのです。
これを「味覚地図」と呼んでいます。
それに対して犬は、その味覚地図も人間ほど明確でないと言われ、よくわかっていません。
犬が判断できる味覚
甘味、苦味、酸味、塩味といった代表的な味覚は犬にもあるのでしょうか?
犬は甘味に対して非常に強い反応を示すことがわかっています。
一方で、甘いものに対する反応は、人間が甘いものを与えて初めて機能し始めるとする見解をもつ獣医師もいます。
(参考:http://www.koenji-ac.com/kiso/tokubetu06.html)
対して、苦味、塩味に対しては感じる力が弱く、苦味を感じることは出来ないと思われるのが獣医学の見解です。
人間にはこれ以外に「うま味」も感じますが、犬の場合はうま味というより、甘味と酸味が合わさった、いわゆる「腐敗」に近い状態の味を好む面があります。
これは、犬の先祖であるオオカミなど、腐食を好む種がいた名残のひとつと考えられます。
塩味に鈍感なのも、野生の犬の食生活を考えると理解できます。
捕食した獲物の血肉には、塩分が含まれています。人間も同じですね。
したがって、野生で生きる犬は、普段の食事で塩分補給が出来ているため、あえて塩味を感じて要求する必要がないわけです。
苦味に関しては、感じることはほとんどできないのですが、体が拒否反応を起こして、吐き出すようにできています。
また、犬は「水の味」を感じることができ、数種類の水を識別することが可能です。
(参考:http://www.kobe-flanders.com/column/column4.php)
犬は味覚オンチ?
犬が食事をする際に重要視するのは、まずニオイです。
次に、冷たいものより温かいもの、固いものより柔らかいものというように食感を重んじます。
味についてはその次で、犬はあまり重要視していないようです。
その理由として、やはり野生の犬たちの食事を考えると理解が進みます。
野生では、食うか食われるかであり、群れの中でも序列はあるにせよ、あまりゆっくりと味わっていると横取りされたり襲われたりします。
そのため、のどを通る大きさのものであれば丸飲みす習性が今でも残っているのです。
このことから、犬は食事を楽しむというよりも、本来は栄養を摂ることに特化していたため、味覚については進化しなかった、する必要がなかったと考えられます。
口に入れるより先に、嗅覚で判断することは、危険なものを口にしないことにつながりますから、合理的な作りであるとも言えますよね。
さらに、犬が全く重要としないのは「見た目」です。
ドッグフードのによっては色や形にこだわった製品もありますが、そういったことで犬の食欲をそそることは、まずありません。
一度嫌な思いをしたら二度と口にしない
犬は、たとえば初めて口にしたものが体に合わなかったり、その後、体調を崩すなど嫌な経験をすると、同じ味のものは受け付けなくなるという習性があります。
人間の場合、どんなに深酒をし「二度と飲まない!!」と心に誓ってもその日のうちに飲んでしまうことも少なくありませんが、犬の場合は苦しい思いをしたことが記憶として長く残るため、二度と食べないことがほとんどです。
これは「味覚忌避」と呼ばれる習性で、食べることイコール生きることであると証明する習性ですね。
甘味についての考え方
先に述べたように、犬が甘味に対して反応が鋭いというのは、元からそうであったのではなく、人間が甘味を与えたことで機能し始めるという考え方があります。
これは獣医師の間でも言われており、マウスなどの実験でも立証されていることでもあります。
たとえば、羊水にリンゴ溶液を加え、胎内でリンゴを味わったマウスが、出生後もリンゴを好んだという研究結果があります。
同じように、元は野生で暮らし、甘味に関してはさほど敏感ではなかった犬が、人間と暮らす中で甘味を感じる機能が発達していったといえます。
それは、何もお菓子などの甘いものではなく、炭水化物のことです。
白米やパンなどは、嚙めば噛むほど甘味を感じますよね。
これは、糖質が含まれているからです。
糖質を多く与えられてきた犬は、甘味に大きく反応し、その犬から生まれた犬もまた、母乳などを通じて甘味を覚え、機能し始めるというのは、確かに理にかなっていますね。
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まとめ
犬は感覚が鋭いとされていますが、味覚に関しては、非常に鈍感であるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。
また、人間との生活で味覚の感じ方(特に甘味)が強くなるなど、興味深い点もあります。
犬が「おいしそうだ」と認識するのは、味覚ではなく嗅覚に頼るところが大きいですから、食欲がない場合なども嗅覚に訴える工夫をすることが役立つかもしれませんね。
犬の生態や体の仕組みを知ることは、日々の飼い主の悩みを解決する手助けになることでしょう。
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