犬のてんかんの症状と原因!予防法や対策は?
犬がかかる病気に「てんかん」があります。
人間でも起こる病気ですから、なんとなくどういったものかはわかっていても、いざ愛犬にてんかんの発作が起こると心配ですよね。
てんかんとは、どのような病気なのでしょうか。治療法や気をつけるべきことなどをまとめました。
てんかんとは
簡単に言うと、脳内の神経が興奮やなんらかの事情でショートしてしまい、自分で自分の体をコントロールできなくなってしまう状態を言います。
よく「発作」のことをてんかんということがありますが、てんかんは慢性的な脳の病気の名前で、発作はその状態のひとつです。
症状からてんかんでないのに、てんかんだと間違ってしまうこともあります。
犬の場合、およそ100頭に1頭程度で発症し、決して珍しい病気ではありません。
原因
てんかんを起こす原因として様々なことが考えられます。
てんかんは、脳の神経経路が何らかの要因でショートしてしまうことで起こるわけですが、その「何らかの原因」というのは、これまでにあった神経細胞に影響を与えるような出来事すべてがあてはまります。
考えられる原因として、
- 出生時の低酸素症
- ウイルスによるもの
- 交通事故などの外傷
- 脳腫瘍
- 遺伝的要素(特発性てんかん)
などが挙げられますが、これ以外にも要因はあります。
遺伝的要素を抱える犬種としては、よく知られる犬種としてレトリバー種、スパニエル種、プードル、コーギー、シェパード、コリー、ハスキーなどがあり、発症するのは比較的若い1~3歳ころが多いと報告されています。
遺伝の場合は脳の神経損傷が原因ではないため、「特発性てんかん」に分類されます。
症状
大きく分けて、てんかんには部分発作(焦点発作)と全般発作があり、犬は全般発作が多いです。
部分発作(焦点発作)
神経細胞のショートが局所的に起こる発作です。
症状は、筋肉が異常な動きをする(顔の痙攣、首の突き出し、極端な瞬きなど)ものや、自律神経の変調(よだれ、嘔吐など)、その他うろうろと動きわまったり怯えた行動をとる、飼い主に付きまとうなどの症状が見られます。
全般発作
神経経路のショートが脳の広範囲で群発した状態のことです。
全身けいれんが代表的な症状ですが、ここでいうけいれんとは、震えといった症状ではなく、意識をなくして突然倒れ、四肢を突っ張るようにして激しくけいれんします。
時に唸るような奇声を発することもありますが、苦しいという感覚はありません。
およそ2~3分この状態が続きますが、治まると何事もなかったかのように起き上がり、普通に行動することが多いです。
なかには半日から1日程度、なんとなくボーっとしている場合もありますが、いずれもてんかん発作後の典型的な状態です。
治療法
投薬治療がメインになります。
副作用がないか、低用量の薬を用いて様子を見ながら行われます。
大型犬は副作用がキツイこともあるため、飼い主は投薬を始めた後はしっかり状態を確認しておく必要がありますので、日誌などをつけることが良いですね。
その後、血中濃度の測定や発作の頻度などを考えながら薬の種類や量を調整していきます。
すぐに発作が起きなくなることを目的にするのではなく、発作の感覚が投薬前より伸びているかどうか?てんかん発作の激しさが軽減されたかどうか?そのような基準で計画されます。
そのため、飼い主さんからすれば効果がわかりにくかったり、薬の副作用を不安に思うこともありますが、勝手にやめたり、治療そのものを拒否することのないよう、しっかり獣医師と相談することが大切です。
飼い主の心構え
初めて発作が起きたら、誰でも驚き、飼い主さんもパニックになってしまいがちです。
その際、体をゆする、口に手を入れるといった行為は、咬まれたり、犬自身が傷つく可能性があるのでしてはいけません。
ぶつかりそうなものなどがあればよけるなど配慮し、犬がケガをしないよう気をつけましょう。
治まったあとで、発作が起こった時の状況、何分程度の発作だったか?治まってからどんな行動をしたか?などを忘れないうちに記録しましょう。
また、発作が10分以上続く、意識が戻っていないのにまた発作が起きるといった場合は、てんかんの中でも重篤な状態といえますので、すぐに診察を受けてください。
てんかんを発症した後に「泳ぐ」という行為には細心の注意を払ってください。
飼い主が抱えて水から出せない場合は、溺死の危険性があるので泳がせてはいけません。
てんかんとうまく付き合うために
てんかんの治療は、効果のある薬を見つけるまで、また、効果を実感するまでにも時間を要します。
その間、スムーズにうまくいくこともあれば、薬の副作用などでうまくいかないこともあります。
てんかん治療の目的は、うまく付き合いながら少しでも発作の回数を減らし、犬の生活の質を安定させることです。
そのためには、専門家である獣医師と連携することが非常に重要です。
副作用があるから、なかなか治らないからといって、薬をやめてしまうことは絶対にしてはいけません。
発作は進行することもあるので、薬を勝手にやめたことで次の発作の要因となり、命を落としてしまう結果にならないとも言えないからです。
治療日誌などをつけるのも大切です。
獣医師と相談し根気よく治療を続けることが大切
てんかんを発症する犬は少なくありません。
また、しっかり治療を継続することで、数年かかりはしますが発作が起こらなくなった例もありますから、根気よく治療を続けましょう。
発作が起きなければ、また、発作が起きても適切に対処できれば慌てることはありません。
信頼できる獣医師とともに、しっかりケアしてやることで、楽しく生活することは十分可能です。
悲観的にならず、うまくつきあっていくことを考えましょう。
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