脂質代謝異常症の犬に与えるドッグフード選び
日本のペット飼育環境は、欧米に比べると決して恵まれているとは言えません。
狭い住環境、過密する人口、犬の散歩に行く時間を十分とれる飼い主さんも、実際は多くないでしょう。
加えて、室内飼いがほとんどになってきていることから、いつも人間がそばにいておやつなどを与えたり、間違った手作り食などで栄養バランスが大きく崩れることも。
今回は、生活習慣病と言える「脂質代謝異常症」についてまとめました。
脂質代謝異常症に最適な食事(ドッグフード)については知りたい方はこちら
脂質代謝異常症とは?
脂質代謝異常症とは、血中の脂肪やコレステロールが適正数値から外れている状態のことを言いますが、多くは過剰になっている状態のものです。
血中のコレステロールは大きく分けて4つに分けられ、食餌性、悪玉が2種、善玉が1種となっています。
食餌性はカイロミクロンと呼ばれ、腸から吸収された脂質を肝臓に送ります。
悪玉のVLDL、LDLは、コレステロールを体中に運ぶ役目、善玉のHDLは余分なコレステロールを集める役割があります。
犬の場合はHDLがもともと多いため、人間ほど動脈硬化や心筋梗塞は起こらないとされます。
原因
内分泌系の疾患がもとで発症したり、肥満や間違った食生活で引き起こされることが多いです。
もちろん、先天性のものもあります。
シェットランド・シープドッグやミニチュア・シュナウザーには遺伝的な要因がある犬種です。
ただし、他の基礎疾患から発生する症状でもあります。
また、脂質代謝異常が基礎疾患となって、膵炎、肝疾患、目の病気を引き起こすこともあります。
症状
肥満、それに伴い痩せようと減量用フードを与えても痩せない、目の白濁、頻繁な嘔吐や下痢などが挙げられますが、なかなかすぐには気づくことが出来ません。
定期的な血液検査を行うことで、数値から代謝異常を疑うことは可能ですが、数値が異常値であった場合は、さらに詳しい検査を行う必要があります。
検査
数値から見る病気の可能性
血液検査で測る総コレステロール値とは、「トリグリセリド(中性脂肪)」とコレステロールを合計したものです。
これらの数値から、どのような病気が疑われるかがわかります。
まず、それぞれの正常値ですが、空腹時において、
となっています。
トリグリセリドが500を超えた場合は、急性膵炎を発症する可能性がありますので、わかり次第処置をする必要があります。
コレステロール値の方は、300を超えると目の疾患に注意する必要が出てきます。
また、コレステロール値が高い場合は、糖尿病、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、蛋白喪失性腎症などを疑う必要があります。
胆泥症との関連
胆泥症とは、胆のうの働きが悪くなり、胆汁が胆のう内に溜まってしまう病気です。
胆のうは、脂肪の消化吸収を助ける働きがあるため、これが鈍るとどんなにダイエット用フードを与えても痩せないなどの症状のほかに、脂質代謝異常が起きて、さまざまな合併症へ結びつく可能性もあります。
これらはリポテストとよばれる検査、エコーなどで判断されます。
治療
脂質代謝異常症を発症してしまった場合の治療法にはどのようなものがあるのでしょうか。
投薬治療
脂質代謝を改善する内服薬、基礎疾患に関する投薬などを行います。
疾患の状態によって、薬を飲む期間は異なりますが、途中でやめたりせずしっかりと服用させましょう。
食事管理
ただのダイエットフードは、カロリーを調整してあるだけのものがほとんどですから、疾患の内容を見極めて、専用の食時に切り替える必要があります。
糖質を控え、繊維質が豊富な低脂肪食が理想です。
動物性脂肪は必要ですが、肉類よりはオメガ3脂肪酸など良質な脂質が豊富な魚類で摂取することが望ましいでしょう。
低糖質・低脂肪のドッグフードを選ぶ
脂質代謝異常は、先天性のものを除き、ほとんどが肥満などの食生活、生活習慣の乱れから引き起こされることが多いです。
太った犬はたしかに愛らしさもありますが、命を縮める危険性が高いことはよく理解しておきましょう。
減量するにも、間違ったフードでは意味がありません。
低糖質・低脂肪・高繊維の療法食として評判のドッグフード「犬心」。
脂質代謝異常が疑われる太り気味の犬には、発症していなくても予防の観点からもおすすめできます。
脂肪が多いフードは、嘔吐の要因にもなり得るため、頻繁に嘔吐を繰りかえす犬にもおすすめです。
すでに脂質代謝異常と診断された場合も、獣医にと相談の上、ぜひ試していただきたいドッグフードのひとつです。
大切な家族の体を管理、ケアすることは、飼い主の重要な責務です。
美味しく犬の体に良いドッグフードで、体調管理を始めましょう。
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