日本のドッグフード規制!ペットフード安全法について
私たち人間が食べるものには、厳しい審査基準が決められています。
日本国内で生産、加工される人間用の食材は、そのほとんどがどの国よりも安全なものであると言っても過言ではありません。
では、ペットフードはどうでしょうか?
人間と同じように、厳しい法律や規制があるのでしょうか?
今回は少し難しい内容に思われるかもしれませんが、日本におけるドッグフードの規制、法律などについて勉強したいと思います。
日本におけるペットフードの規制実態
犬や猫が人間と暮らすようになって、そしてペットフードが販売されるようになって50年以上経っています。
しかし、そのフードを管理し、基準を設け、中身を規制するものは、つい最近まで全くない、いわば「なんでもあり」な状態が続いていました。
大手ペットフードメーカーや関連企業が、自主規制などを行い品質の維持、不当なものがはびこらないよう努力を重ねてはいましたが、2009年にようやく「ペットフード安全法」が施工され、さまざまな規制がかかるようになってきたのです。
しかし、諸外国に比べると厳しい規制とは言えない法律にとどまっています。
ペットフード安全法誕生の背景
規制がまったくなかった日本で、なぜペットフードの安全に関する法律ができたのでしょう?
ペットの飼育数の増加や、飼い主の意識の向上に伴い、ペットフード産業の拡大が見込まれたため、ある程度の指針が必要になっていました。
さらに、2007年北米を中心に起きたメラミン中毒によるペットの死亡事故を受け、日本国内でも輸入フードを含め規制する「愛がん動物用飼料の安全性を確保する法律」通称「ペットフード安全法」が制定される運びとなりました。
アメリカにおけるメラミン中毒死亡事故
カナダに本拠地を置くメニューフーズ社が使用した中国産小麦にメラミンが混入していたため、それを使用して製造されたペットフードが汚染され、食べたペットが多数死傷したものです。
被害拡大の要因として、メニューフーズ社は様々なメーカーのフード製造を担う外注先企業であり、しかもシェアのトップ20のうち17のメーカーのフードを製造していたことが挙げられます。
当然リコールが行われましたが、規模が大き過ぎて、いまだに賠償などの裁判は継続されています。
概要
ペットフードの安全性を確保し、ペットの健康を保護し、動物愛護に寄与することが目的です。
環境省、農林水産省などが、担当ごとにペットフード安全法を根拠に、指導や通達を行っています。
ペットの健康を損なうような恐れのあるフードの製造、輸入は禁止されています。
権限は国が持ち、違反するフードを製造、流通させた場合は回収や事業の廃業などを命令できます。
事業者は事前の届け出が必要で、帳簿への記載義務を伴います。
法令順守の調査などは公正を期すために無通告での立ち入り検査が行われ、違反した場合には罰則も設けてあります。
問題点
法律ができたからこれで良し、そうなればよかったのですが、冒頭でも述べた通り、諸外国の法律などに比べると、物足りなさもあります。
たとえば、罰則規定を見ても、帳簿の不記載や虚偽記載をしても罰金は10万円以下、立ち入り検査拒否、無届での営業などは30万円以下、さらに、規格違反やそれに伴う廃業命令無視などでも、1年以下の懲役、罰金は法人であっても1億円以下です。
これは非常に軽いといえます。
健康被害が起こるなど、表ざたになるまでに時間も相当かかるでしょう。
回収命令違反など、相当な悪意がなければ出来ないことであり、被害を受けた側からすれば許せないことです。
実際にここまであくどい業者はいないと信じたいですが、罰則が緩いがために、軽く考えている業者は実際にたくさんいるのも事実です。
その他の規制
ペットフード安全法以外にも、さまざまな規制がかかっています。
薬事法や医薬品医療機器等法、そのほか広告に関するものなどがあります。
一般社団法人ペットフード協会では、会員の企業などに周知し、その基準に沿った製品づくりに努めています。
まとめ
法律があるからと言っても、その基準は厳しいとは言えず、基準を守っているから高品質とも言えません。
しかし、法律である以上しっかり守ることは当たり前のことです。
中には、緩い法律だからそもそも意味がないなどとして、基準を満たせないものしか製造できない言い訳にしているとしか思えない業者も存在します。
広く報道はされませんが、国内メーカーと製造工場との裁判なども実は起こっています。
(参考:http://www.data-max.co.jp/2010/11/1_340.html)
飼い主である私たちには、法律があるから大丈夫!ではなく、自分でも確かめ、正しい目で判断する意志を持つことが求められています。
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