犬に野菜は必要なの?メリット・デメリットを考える
ドッグフードについて学ぶとき、しばしば議論されるのが「犬に野菜は必要か?」ということです。
特に、手作り食を与えようと思った時や、健康的でナチュラルを謳うフードを選択しようとしたときには、野菜の持つメリットやデメリットについて様々な意見に出くわします。
今回は、犬に野菜はどう影響するのか、そして、結局のところ良いのか悪いのかについて、考えてみたいと思います。
飼い犬の場合、野菜は必要
結論から言うと、野菜が犬にとって必要かどうか?答えはYESです。
理由は簡単で、犬にとって必要とされる栄養素を賄うためには、非常に多くの細かい成分が必要だからです。
そして、それらはたんぱく源だけではまかないきれません。
人間と共に暮らし、自分の欲求のままに獲物を得られない飼い犬の場合は特にそうです。
野生のオオカミなどは、たしかに1頭の鹿やなどを丸ごと食べて生きています。
キャベツ畑を荒らしたり、ミカンの木によじ登ったりはしません。
それは、その必要がないからです。
獲物には、動物が食べた野菜や果物が程よく消化されて詰まっていますから、完全ではないにしてもたんぱく源では摂取しきれない栄養素も摂れます。
多くの飼い犬の場合は、毎日の食事に1頭の羊をそのまま与えられることはないですよね。
バランスよく健康であるための食餌には、厳選された野菜は必要なのです。
何が問題なのか?
そもそも、世界中の有名なドッグフードは、たんぱく源と共にさまざまな種類の野菜や果物がふんだんに配合されています。
では、なぜ時として野菜を与えることが議論になってしまうのでしょうか?
それは、その与え方や種類によるところが大きいといえます。
ドッグフード、その中でも総合栄養食の基準を守り、厳重に管理された製造工程を経て、成分分析などもしっかり行われているフードには、獣医学的、栄養学的に考えられた配合方法がとられます。
なにも、キャベツやニンジンをみじん切りにして混ぜ込んでいるだけ、ではないのです。
野菜を与えることの問題点には、以下の2点があります
- 犬には与えるべきではない野菜、果物がある
- 不十分な調理では消化できないものが多い
ドッグフードに配合されている野菜類のほとんどは上記の2点をクリアできた状態にあります(中にはそうでないものもありますが)。
問題になってくるのは手作り食や間食、トッピングとして飼い主が与える野菜についてなのです。
メリットとデメリット
犬が食べてはいけないとされている野菜や果物については、多くの場所で言われていますからここでは省きます。
人間にとってはヘルシーで体にやさしいイメージがある野菜も、安易な与え方でデメリットも出てきます。
生野菜を与えるのは要注意
酵素がもてはやされ、なんでも生食が良いという風潮がありますが、そこにどれだけの根拠があるのでしょうか?
犬は歯ごたえのあるものを好むため、生の方が喜ぶのは事実です。
また、栄養をそのまま摂取できるのもメリットといえます。
しかし、生のままだとシュウ酸など好ましくない成分を摂り過ぎてしまいます。
また、未消化のまま排泄されることも多く、量によっては腸内にガスが溜まりやすくなることもあります。
食物繊維は負担となる場合も
食物繊維にはたくさんのメリットもあります。
しかし、野菜に含まれる食物繊維「セルロース」は、犬の消化器官には負担になることもあります。
量を考えて与える分には特に神経質になることはないですが、生のまま繊維の多く含まれる野菜をたくさん与えることは注意しなければなりません。
ドッグフードに含まれる糖質が高い食材
サツマイモやジャガイモは、穀物類を使用していないフードにもよく含まれる野菜です。
栄養価も高く、非常に良い食材のひとつですが、糖質の高さが気になる食材でもあります。
このような糖質が多く、血糖値を急激に上昇させる食材は、肥満や運動量が極端に低い犬の場合は、量を多く与えるのはよくありません。
上手な野菜の与え方
野菜や果物に含まれるビタミンやミネラルは、先にも述べたように有益なものが多く、犬にとってそれらは良い効果をもたらします。
効率よく、かつ安全に摂取するには、品質の良い野菜や果物がふんだんに配合されているドッグフードを選択するのがベストです。
しかし、訳あって手作り食を与える場合は、犬の負担にならないようにしなければなりません。
生野菜は避ける
生のまま与えると未消化になりやすいですし、犬にとっては負担になる栄養素や成分が多く残ってしまう野菜があります。
しっかり茹でこぼしてから与えましょう。
茹でた場合、茹で汁は捨てる
茹で汁にはアクなどが出ます。
茹でこぼすことでシュウ酸なども排除できます。
ただ、加熱するので栄養素は流出します。
缶詰を利用する
野菜を消化しやすい状態で缶詰にし、その後加熱した野菜を使ったドッグフードがあります。
酸素に触れない状態で加熱した場合、ビタミンCなどの栄養素が壊れにくいという研究結果から、このような缶詰は利用価値があります。
与えるなら犬が消化しやすい状態で
野菜は犬にとってメリットがたくさんある食材です。
しかし、野菜は全て健康的であるという考えや、まるで栄養を考えていないレシピが氾濫し、それらがしばしば問題となるのです。
一般の家庭で成分分析装置のある研究所を備えているところなんてありませんよね。
はっきり言えるのは、そんな状況下で、野菜を効率よく、かつ安全に、そして犬に十分な栄養素を摂取させるということは限りなく不可能ということです。
犬には彩りや凝った飾りつけなどは無意味です。
主食に混ぜて野菜を与える際は、犬が消化しやすい状態に調理し、動物性たんぱく質やオイルとともに与えましょう。
間食やご褒美で与える場合も、しっかりと調理して少量にしましょう。
生で与えても大丈夫な野菜もありますが、慣れていない犬には避けた方が安心です。
食べてはいけない野菜や、与える際に条件があるものなどはしっかり調べましょう。
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